日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

B 食品機能 (Food Function)

[2Ep] 骨代謝、ミネラル代謝、抗酸化

2024年8月30日(金) 15:00 〜 17:30 E会場 (3F N307)

座長:西尾 昌洋(三重大学)、財満 信宏(近畿大学)、長田 恭一(明治大学)

16:00 〜 16:15

[2Ep-05] 豆苗(Pisum sativum L.)の調理法による抗酸化成分の違い

*鶴岡 由紀1、細谷 孝博1 (1. 東洋大学大学院)

キーワード:豆苗、抗酸化、調理法、アシル化

【目的】
 豆苗(Pisum sativum L.)はエンドウの若葉で,安価でかつ高い栄養価に加え,持続的な栽培が可能である.また,さまざまな機能性や成分に関する報告もあり,近年では,機能性表示食品への展開もされている.しかし,豆苗の再栽培法や調理法による機能性や成分の違いを明らかにした報告は少ない.我々はこれまで,豆苗の再栽培における環境の違いで,抗酸化および成分に差異を示すことを報告した.豆苗は家庭では,可食部を加熱調理して食す場合が多いが,こうした機能性や成分変化に関する知見はない.そこで本研究では,豆苗の加熱調理後の機能性および成分の変化を明らかにし,高い機能性を有する調理法を明らかにすることとした.
【方法】
 購入した豆苗の可食部を切り取り,調理法を,生(①),蒸し(②),焼き(③),茹で(④),高温高圧処理(⑤),電子レンジ(⑥)で調理した.処理した豆苗について,質量の増減を水で調製し,メタノールで抽出した.その抽出物に対してDPPHラジカル法による抗酸化活性を評価し,抗酸化成分としてすでに単離しているフラボノイド配糖体4種類をLC/MSにより定量分析を行った.
【結果】 
 抗酸化活性において,最も高い活性を示したのは①で,IC50は460.3±24.1 µg/mLだった.ついで,②、③、④、⑤となり,⑥は720.1±10.0 µg/mLと最も低い活性となった.また,豆苗に含まれる抗酸化成分として,フラボノイド配糖体を定量分析したところ,概して抗酸化活性が高かった①,②で高値を示し,活性の低かった⑤,⑥は低値だった.特にケルセチン配糖体で顕著な減少を確認した一方で,クマル酸がアシル結合したケルセチン配糖体は,⑥を除き,生と同等量であった.これはアシル化することで,化合物の安定性を高めることできるためだと考察した.