14:15 〜 14:30
[3Ap-01] ショ糖がノーズスペースアロマリリースに及ぼす影響
キーワード:アロマリリース、ノーズスペース、ショ糖
【目的】演者らは、香気成分の種類により増粘剤のヘッドスペース及び喫飲後のレトロネーザル経路でノーズスペース(鼻腔)に到達する成分量への効果が異なることを明らかにしてきた。ショ糖(少糖類)を用いた時のヘッドスペースへのアロマリリース量については、塩析作用により増加する香気成分及び塩溶作用により減少する香気成分があることが報告されている。1)本研究では、香気成分水溶液にショ糖を添加し、喫飲嚥下した直後のレトロネーザル経路で鼻腔に戻ってくるノーズスペースアロマリリース量を測定し、ショ糖がレトロネーザルアロマに及ぼす影響を調べることにした。【方法】香気成分水溶液にショ糖を加え試料とした。比較対照としてショ糖無添加の香気成分水溶液も準備した。試料10mlを口に含みアダプターを鼻孔に装着し、約20秒口に保持した後に1回で嚥下し、3秒に一回の呼吸サイクルで約15秒間のノーズスペースアロマリリース量を測定した。測定にはIonicon社製PTR-MSを用いた。【結果】ショ糖無添加香気成分水溶液を喫飲嚥下した時のレトロネーザルアロマリリース量に対するショ糖添加香気成分水溶液を喫飲嚥下した時のレトロネーザルアロマリリース量の比を求め、ノーズスペースアロマリリース効果値とした。ショ糖を用いることで増加する香気成分と減少する香気成分があり、レトロネーザルアロマを強く感じたり、弱く感じたりする原因を説明できることが示唆され、味と香りの相互作用に関する理解が進展すると確信する。しかし、ヘッドスペースアロマリリース効果値とノーズスペースアロマリリース効果値は必ずしも一致しなかったことから、口腔内、鼻腔内においては、複雑な現象が起きており、体系化する理論の研究もまた重要である。 1) Ellen N. Friel et al. Food Chemistry 71(2000) 309-317