日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Ap] フレーバー物質,色素

2024年8月31日(土) 14:15 〜 16:45 A(S2)会場 (3F N321)

座長:中田 勇二(味の素)、島村 裕子(静岡県立大学)、西津 貴久(岐阜大学)

15:45 〜 16:00

[3Ap-06] 生姜中の新規辛味成分の同定および香味評価

*徳良 雄貴1、佐藤 帆1、中西 啓1 (1. 長谷川香料(株) )

キーワード:生姜、辛味成分、HPLC、香味評価

【目的】生姜はショウガ科ショウガ属の多年草であり,gingerol類およびshogaol類をはじめとした辛味成分を含むことが知られている.市販の[6]-shogaolは高価かつ大量入手が困難な試薬であるため,生姜超臨界抽出物加工品からのHPLCによる単離精製を試みたところ,[6]-shogaolと分離困難な不明成分が存在していることが分かった.スペクトルから不明成分は[6]-shogaolと類似した構造を有する新規の辛味成分である可能性が考えられたため,不明成分の解明を目的に研究を行った.
【方法】分取精製:目的の不明成分は,生姜超臨界抽出物加工品からHPLCにより単離精製を行った.構造決定:NMR測定(1H NMR,13C NMR,COSY,HMQC,HMBC)を行い,目的成分の構造を推定し,合成標品との比較により構造を決定した.香味評価:目的成分の辛味を[6]-shogaolと比較し評価した.
【結果】生姜超臨界抽出物加工品から逆相および順相でのHPLC分取を行ったところ,高純度で目的の不明成分を単離した. NMR測定による構造推定ならびに合成標品との比較により,不明成分を(E)-1-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)dec-5-en-3-oneであると同定した. 香味評価の結果,(E)-1-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)dec-5-en-3-oneは辛味を有しており,その辛味は[6]-shogaolの辛味と比べて特徴が大きく異なることが分かった.