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[3Cp-06] サメ肝油スクアレンの酸化による揮発成分の生成
キーワード:スクアレン、LC−MS/MS、スクアレンモノヒドロペルオキシド、サメ肝油
【目的】スクアレン(SQ)は皮脂の主要な構成成分であり,その酸化によってスクアレンヒドロペルオキシド(SQOOH)が生成し,さらには酸化二次生成物となり,皮膚疾病への関与が考えられている.他方,SQはサメ肝油や植物油などの食品に含まれる機能性成分でもある.私たちは,サメ肝油の製造・流通時にSQがラジカル酸化されSQOOHを生じ,この酸化機構は皮脂で起きる太陽光によるSQの光酸化(一重項酸素酸化)とは全く異なることを見出しつつある.故に,サメ肝油のSQOOHからは,皮脂とは違った酸化二次生成物が生じ,風味等の品質に影響するかもしれない.本研究では,SQからこうした特徴的な酸化二次生成物(揮発成分)が生じ得るかを,固相マイクロ抽出(SPME)-GC-MSで調べた.【方法】①サメ肝油からSQを精製し,加熱(40℃)した.経時的(0~21日間)に回収し,試料とした.②賞味期限前のサメ肝油製品(4種類)や,賞味期限から2年以上経過したものを試料とした.これらの試料について、SQ由来の酸化二次生成物(揮発成分)をSPME-GC-MS(捕集条件:40℃、30分)で分析した.【結果】①精製したSQを加熱すると,ラジカル酸化に由来すると考えられる種々の揮発成分が検出され,経時的な増加が認められた.②こうした揮発成分のいくつかが,実際のサメ肝油製品からも検出され,中でも芳香を有するlinaloolと考えられる成分が,賞味期限から2年以上経過した試料から多く検出された.本研究により,サメ肝油のSQのラジカル酸化により、特徴的な揮発成分が生じると示唆される.Linaloolの香りの質を考えると,このことに着目した開発の可能性も感じられ,興味深い.