日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Cp] 食品分析

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 C会場 (3F N323 )

座長:仲川 清隆(東北大学)、松田 寛子(日本獣医生命科学大学)、間野 博信(あいち産業科学技術総合センター)

15:45 〜 16:00

[3Cp-07] 飼育・製造方法が異なる牛乳4種類中のフィタン酸および脂肪酸含有量の分析

*松田 寛子1、坂本 広樹1、白倉 大暉1、吉永 和明2、奈良井 朝子1 (1. 日獣大 応生科 食品、2. 福島大 食農 食品)

キーワード:フィタン酸、牛乳、有機製品、食品分析、乳製品

【目的】フィタン酸(PA)は,ヒト生体内においてメタボリックシンドロームや2型糖尿病の改善・予防に関わる機能性成分として知られている.一方で,牧草を摂取した反芻動物体内では,ルーメン内微生物叢によって発酵されてPAが生成され、反芻動物中の脂肪として貯蔵されてる.そのため,ヒトは赤身肉や乳製品からPAを摂取することが可能である.そこで,本研究では,日本国内で製造された飼育・製造方法が異なる4種類の牛乳中のフィタン酸および脂肪酸含有量を明らかにして,栄養分野における牛乳摂取の新たな効果の提唱を目指した.
【方法】試料は,「普通牛乳」および「有機牛乳」のうち,それぞれ低温・高温殺菌された計4種類を9〜10月に購入して用いた.試料中のPAは,1倍量アセトンと0.5倍量ヘキサンを混合してヘキサン層を回収した後,常温下での減圧乾固によりパウダーとして得た.アセトンで再溶解したPA含有パウダーを,脂肪酸分析用蛍光試薬により誘導体化後にHPLC分析に供することで,試料中PA濃度を算出した.試料中の総脂肪量は,Rose-Gottlieb改変法により抽出し,重量測定により算出した.また,得られた乳脂肪を2.5% KOH/ 1-プロパノール溶液により加水分解して無水硫酸ナトリウムで乾燥後,GC-FIDに供することで試料中の脂肪酸組成を得た.
【結果】牛乳中のフィタン酸含有量・総脂質量・脂肪酸組成は,4種類の牛乳で有意に異なる点があった.結果の一部として,国内製造される「有機牛乳」にはフィタン酸が高含有していることが示された一方で,その濃度は製造ロットによって変動することも示唆された.