15:30 〜 15:45
[3Ep-05] 食用昆虫トノサマバッタはラットのリポタンパク質代謝を良好に調節する
キーワード:食用昆虫、トノサマバッタ、脂質代謝、リポタンパク質、ラット
【目的】国連食糧農業機関は持続可能な食料・飼料資源として昆虫の利用を推進する報告書を公開した(2013年).中でも2021年にEU圏で新規食に認可されたトノサマバッタ(Locusta Migratoria, 以下、ML)にはタンパク質だけでなく,n-3系脂質や食物繊維キチンが含まれるため,脂質代謝に良い影響を及ぼすと思われる.先行研究にて,10%ML含有食を健常ラットに給餌すると血中-肝臓の脂質代謝を良好にする結果を得た(2022).本研究では脂質異常症モデルラットを用いてMLによる脂質代謝改善作用,特に脂質異常症の発症・進展に関与する血中リポタンパク質濃度に及ぼす影響を検討した.
【方法】試料にはTAKEO(株)のML粉末を用いた.雄SDラットに高コレステロール食,肝臓脂質合成を高めるフルクトース食およびVLDLの産生・分泌を抑制し,脂肪肝を誘発するオロチン酸食をそれぞれ給餌した.AIN-93G食を対照とし,各ML食は各食餌に含まれるカゼインの半分(10%)をMLに置換した.絶食下で血漿と肝臓を採取し,血漿の脂質濃度および脂肪酸組成,リポタンパク質濃度、肝臓脂質関連指標を測定した.
【結果】MLは脂質異常症モデルラットの血漿中のカイロミクロン,総LDLおよび小型LDL脂質濃度を低減させ,リポタンパク質代謝を良好に調節して脂質異常症を改善することが示唆された.ML内のn-3系脂質であるα-リノレン酸が血漿および肝臓にエイコサペンタエン酸やドコサペンタエン酸に変換されて蓄積されるだけでなく,炎症誘発性脂肪酸であるアラキドン酸の含有率が抑制された.n-3系脂質にはLDL脂質の肝臓取込みを促進する作用があることが示唆されるため,LDL脂質が血中に蓄積されにくくなる作用機序の解明を進めている.以上より,食用昆虫MLは脂質異常症を予防・改善する将来的な食料資源として期待される.
【方法】試料にはTAKEO(株)のML粉末を用いた.雄SDラットに高コレステロール食,肝臓脂質合成を高めるフルクトース食およびVLDLの産生・分泌を抑制し,脂肪肝を誘発するオロチン酸食をそれぞれ給餌した.AIN-93G食を対照とし,各ML食は各食餌に含まれるカゼインの半分(10%)をMLに置換した.絶食下で血漿と肝臓を採取し,血漿の脂質濃度および脂肪酸組成,リポタンパク質濃度、肝臓脂質関連指標を測定した.
【結果】MLは脂質異常症モデルラットの血漿中のカイロミクロン,総LDLおよび小型LDL脂質濃度を低減させ,リポタンパク質代謝を良好に調節して脂質異常症を改善することが示唆された.ML内のn-3系脂質であるα-リノレン酸が血漿および肝臓にエイコサペンタエン酸やドコサペンタエン酸に変換されて蓄積されるだけでなく,炎症誘発性脂肪酸であるアラキドン酸の含有率が抑制された.n-3系脂質にはLDL脂質の肝臓取込みを促進する作用があることが示唆されるため,LDL脂質が血中に蓄積されにくくなる作用機序の解明を進めている.以上より,食用昆虫MLは脂質異常症を予防・改善する将来的な食料資源として期待される.