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[3Fp-07] 生体利用性の異なるポリフェノール類の摂取による認知機能およびメタボロームへの影響
キーワード:ポリフェノール、認知機能、腸内細菌、メタボローム解析
【目的】近年, 種々のポリフェノールにおいて, その摂取が認知機能に影響を与えることが報告されている.ポリフェノールは構造や重合度の違いにより, 生体利用性が大きく異なっている.このことは, 腸内細菌叢やメタボロームに影響を与え, 生体調節機能における作用機序に違いをもたらすと予測される.一方で, 腸内細菌の産生する代謝物が認知機能に寄与することも報告されている.そこで本研究では,構造および生体利用性の異なる3種類のポリフェノールをマウスに長期間摂取させ, それらが認知機能へ及ぼす影響を確認するとともにメタボローム解析を行い, その作用機序について検討した.【方法】6週齢雄性のC57BL/6J系雄性マウスを用いて実験を行った.高脂肪高ショ糖食+水道水:HFHS群,高脂肪高ショ糖食+0.5%プロシアニジン類溶液:APC群,高脂肪高ショ糖食+0.1%カテキン類溶液:CAT群,高脂肪高ショ糖食+0.5%ヒドロキシ桂皮酸類溶液:AHC群に分け,飼育3ヶ月と12ヶ月に, Y字迷路を用いた自発行動量および空間作業記憶試験を行うとともに, 尿中のメタボローム解析を行った.【結果】飼育3ヶ月後では, 各群の違いは認められなかったが, 12ヶ月においてはHFHS群と比較してAPC群, CAT群において空間作業記憶が有意に高かった.また, 自発行動量においてもHSHF群と比較して, いずれのポリフェノール群においても増加傾向が認められた.尿中メタボロームについては, 多変量解析により群ごとに代謝物が異なることが明らかになった. 特にAPC群やAHC群においては顕著に違いが示されており, プロシアニジンやヒドロキシ桂皮酸の分解物の他, 多くの内在性因子や能機能に寄与するトリプトファン代謝物の変化も認められており, 成分同定とともに認知機能との関与についても解析を進めている.