日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[3Gp] 豆、イモ

2024年8月31日(土) 14:15 〜 16:30 G会場 (3F N305)

座長:本多 裕司(石川県立大学)、小舘 琢磨(静岡県立農林環境専門職大学)

14:15 〜 14:30

[3Gp-01] 窒素施肥量がエダマメ種子のβアミラーゼ活性およびマルトース生成量に及ぼす影響

*高井 雄一郎1、林 和真1、神野 有子1、湯ノ谷 彰2、新名 世実1 (1. (地独)大阪府立環境農林水産総合研究所、2. 大阪府中部農と緑の総合事務所)

キーワード:エダマメ、マルトース、βアミラーゼ、窒素施肥

【目的】エダマメの種子を加熱した際にβ-アミラーゼの作用によりデンプンから生成されるマルトースは,種子の登熟期に蓄積するスクロースとともに,食味に大きく関与するとされている.本研究では,窒素施肥量を制御してエダマメの食味を向上させることを目的に,栽培時の窒素施肥量が種子のβ-アミラーゼの活性,マルトース生成量およびデンプン含有量に及ぼす影響を検証した.
【方法】エダマメは,令和5年3月上旬にビニルハウス内(栽培前の硝酸態窒素0.2 mg/100g,EC:約0.1 mS/cm)に定植し,土寄せ時および開花時に,それぞれ硝酸アンモニウムを0, 2, 4 kg-N/10aとなるように施肥して栽培した.6月中旬に収穫し,収穫直後に茹でた種子に含まれるマルトースおよびデンプンの量を測定した.また,収穫直後の種子からTris緩衝液(pH8.0)を用いて粗酵素液を抽出し,β-アミラーゼ活性を測定した.
【結果】土寄せ時の施肥量を0~4 kg-N/10aとし,開花時の施肥量を0 kg-N/10aとした試験区ではマルトース生成量とβアミラーゼ活性は窒素量が増加するほど増加した.一方,土寄せ時の施肥量を4 kg-N/10aとした場合,開花時の施肥量が0 kg-N/10aの試験区と4 kg-N/10aの試験区の間で,マルトース生成量およびβアミラーゼ活性についての有意な差は認められなかった.このことから,種子加熱時のマルトース生成量を増やすために,土寄せ時に一定量の窒素施肥が必要であること,開花時の窒素施肥によるβアミラーゼ活性およびマルトース生成量への影響は小さいことが示された.また,全試験区間のデンプン含有量には有意差が認められず,デンプン蓄積について,窒素施肥量の影響がないことが示された.