日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[3Ha] 穀物、豆、イモ

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 H会場 (3F N303)

座長:松村 康生(京都大学)、成川 真隆(京都女子大学)、佐藤 広顕(東京農業大学)

09:00 〜 09:15

[3Ha-01] 二軸エクストルーダーによる大麦未利用部位活用法の検討

*金井 悠輔1、阿久津 智美1、岡本 竹己1、鎌田 直2、上武 裕2、青木 隆2 (1. 栃木県産業技術センター、2. (株)大麦工房ロア)

キーワード:大麦、糠、押出加工、膨化食品、食品テクスチャー

【目的】大麦の精麦工程において発生する糠は,廃棄または畜産飼料としての利用に限られており,持続可能な社会実現の観点から食品素材としての活用が求められている.本研究では,二軸エクストルーダーを用いて大麦糠の押出加工を行い,原料配合及び加工条件が押出品の品質に及ぼす影響を調査し,当該原料を食品素材として有効利用する方法を検討した.
【方法】栃木県産二条大麦(品種:ビューファイバー)を精麦歩合70%まで精麦した際に生じた糠を原料とし,副原料として穀粉(大麦粉・小麦粉・コーンフラワー・米粉)を適宜配合させて原料を調製した.二軸エクストルーダーによる運転パラメータのうちスクリューパターン・スクリュー回転数・対原料加水率・バレル加熱温度の4因子について,2水準系直交配列表実験に従って設定し実験を行った.押出品の直径を計測し,エクストルーダーのダイ口径で除した値を膨化度とした.押出品の物性評価のため,テクスチャーアナライザーによる圧縮試験を行い,得られた荷重曲線から,全体的な硬さの指標として最大荷重,噛み心地の指標として平均ピーク深さ,脆さの指標として最大荷重点の歪みを求めた.
【結果】大麦糠と副原料の穀粉を配合した試験では,糠配合割合が上がると膨化が抑制される傾向が見られたが,副原料に米粉またはコーンフラワーを用いることで膨化が維持された.糠配合割合75%で比較すると,米粉を配合したものが最も膨化し,最大荷重及び平均ピーク深さが最も低値を示した.運転パラメータのうちスクリューパターンとスクリュー回転数は膨化度及びテクスチャー特性に強く影響し,混練能力の高いスクリューを高速回転させることで高い膨化度を示した.一方,対原料加水率とバレル加熱温度は最大荷重点の歪みに影響することがわかった.これらの結果から,原料配合や押出加工の条件を適切に調整することで,膨化度と物性を制御できることが示された.