日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[3Hp] 発酵、酵素利用

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 H会場 (3F N303)

座長:西野 智彦(東京工科大学)、長野 隆男(石川県立大学)、富永 達矢(日本女子大学)

16:30 〜 16:45

[3Hp-10] 白菜の産地がキムチの品質劣化に及ぼす影響

*小井土 愛実1、鹿内 春陽1、佐藤 伶磨1、君島 愛美2、成澤 直規2、中村 知世1、西野 智彦1 (1. 東京工科大・院・バイオ・情報メディア研究科、2. 日大・院・生資科)

キーワード:キムチ、白菜、品質劣化、乳酸菌

【目的】
キムチは白菜などの野菜に塩,唐辛子,魚介塩辛,ニンニクなどを加えて発酵させた食品である.しかし,製造時にスターターを添加しないため,野菜原料由来の乳酸菌などの微生物が発酵や製造後におこる品質劣化に関与していると考えられている.本研究では,産地と収穫時期の異なる白菜を用いて製造したキムチを保存したときの生菌数,風味に影響すると考えられる因子(pH,酸度,塩濃度,糖濃度,有機酸濃度)の変化,保存中に分離した微生物の同定を行うことで,白菜の産地が品質劣化に及ぼす影響について調べた.
【方法】
キムチを家庭で保存するときに起こる温度変化,雑菌混入を想定して,週に4回,ふたを開けて常温(25℃)に保った後,1回撹拌する操作を行った.このキムチを経時的にサンプリングし,生菌数と上記の因子を測定した.また,生菌数測定時にコロニー性状から優勢菌と考えられる菌株を寒天培地上から単菌分離し,16S rRNA遺伝子塩基配列解析による同定を行った.
【結果】
長野県産の白菜と茨城県産の白菜を使って製造したキムチを用い,保存中の生菌数と風味に影響する因子を約1ヶ月半測定した.生菌数は,長野県産,茨城県産ともに減少傾向を示した.風味に影響する因子は両者とも保存中に大きな変化は見られなかった.
白菜の内側,外側の葉に付着する微生物の生菌数を6種類の培地を用いて測定した.キムチの発酵に影響を与える乳酸菌は長野県産,茨城県産ともに白菜の内側,外側から分離されたが,生菌数は茨城県産の方が内側,外側ともに多かった.
生菌数測定時に単菌分離した菌株を同定したところ,乳酸菌はLeuconostoc citreumLactococcus lactisWeissella confusaが優勢菌と同定された.乳酸菌以外はBacillus 属,やPeribacillus 属,Priestia 属などの芽胞形成菌が多かった.