日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[3Ja] 加工、製造技術

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 J会場 (2F N207)

座長:下山田 真(静岡県立大学)、辻井 良政(東京農業大学)、梅田 拓洋(農業・食品産業技術総合研究機構)

09:45 〜 10:00

[3Ja-04] 発酵豆乳中イソフラボンのin vitroバイオアクセシビリティに及ぼす乳酸菌種と加熱方法の影響

*郭 安1、松野 正幸2、下山田 真1、村上 和弥1 (1. 静岡県大・院・薬食、2. 静岡県工技研)

キーワード:発酵、豆乳、イソフラボン、乳酸菌、消化

【目的】大豆製品に含まれるイソフラボンは日常的な摂取により骨粗しょう症やがんなどの予防効果を持つことが報告されている.イソフラボンにはアグリコン型,配糖体およびマロニル配糖体の3種類が存在し,アグリコン型は人体により吸収されやすいと知られている。豆乳等の大豆製品中ではほとんどが配糖体であるが,ヨーグルト等の発酵食品にはアグリコン型が多く含まれイソフラボンの効率的な摂取が期待される.本研究では,異なる乳酸菌株で発酵豆乳(ヨーグルト)を調製し,イソフラボンのバイオアクセシビリティを評価することで,ヨーグルトに適した菌株の選定を行った.更に、豆乳の加熱処理方法による影響を評価した.
【方法】 大豆(フクユタカ)を蒸留水に一晩浸漬後,磨砕し得られた生豆乳について,2種の加熱処理(湯浴,オートクレーブ)を行った.乳酸菌はLactococcus lactis (菌①),Limosilactobacillus fermentum (菌②), Lactiplantibacillus plantarum (菌③)の3株を使用し,加熱処理した豆乳に菌懸濁液を2%接種し,30 °Cで18時間培養することでヨーグルトを作製した.得られたヨーグルトと原料の豆乳に対してヒトの胃小腸系を模擬したin vitro消化試験を行い,腸内消化液ミセル中のイソフラボン濃度を測定し,消化率(%)として評価した.
【結果】ヨーグルト中のイソフラボンについては,オートクレーブした豆乳で調製したサンプルで最もアグリコン濃度が高い結果となった.一方,菌①,②で調製したヨーグルト中のアグリコン濃度は,豆乳とほとんど差が確認されなかった.in vitro消化試験では,最もアグリコン濃度の高い菌③のヨーグルトにおいて消化率が最も低くなり,アグリコン濃度が低い原料豆乳や菌①,②のヨーグルト中のイソフラボンの消化率がより高いことが確認された.