The 71th Annual Meeting of JSFST

Presentation information

Young Scholars and International sessions (Poster presentation)

若手の会ポスター発表

[PA] Poster Presentation Awards / International Poster Award for Young Researcher

Thu. Aug 29, 2024 9:00 AM - 5:00 PM Poster room (Tower-75 2F Student Hall)

[PA-59] Constituent proteins of the soluble aggregate fraction separated from dry-heat-induced denatured egg white protein

*Shota Koyama1, Misato Horai2, Riku Takizawa2, Daisuke Kodama3, Akihiro Handa4,5, Yoshimasa Tsujii1 (1. Dept. Agric. Chem., Fac. Appl. Biosci. Tokyo Univ. Agric., 2. Dept. Agric. Chem., Grad. Sch. Appl. Biosci., Tokyo Univ. Agric., 3. Kewpie Co., 4. Tokyo Denki Univ., 5. Tokyo Univ. Agric.)

【目的】卵白タンパク質は乾熱処理による熱変性(乾熱変性)により,水戻しして調製した加熱ゲルの硬さおよび弾力が飛躍的に増加する.乾熱変性により生じるタンパク質可溶性凝集体(SPA)は加熱ゲル物性向上に寄与する因子である.SPAは還元処理により切断できないリジノアラニン架橋により形成されるため,SDS-PAGEなどによる組成分析は困難である.また,乾熱変性によりオボアルブミンにて生じる部分断片の分布にも興味がもたれる.そこで,乾熱変性卵白のタンパク質(乾熱未分画)を分画(単量体,SPA)し,それらの構成タンパク質やオボアルブミン部分断片の分布に基づいてSPAの性状を解析した.
【方法】陰イオン交換樹脂を使用して乾熱未分画より単量体およびSPA画分を得た.ウシ血清アルブミン(内部標準)を添加後,各画分をトリプシン/リジルエンドペプチダーゼにより消化し,LC/MS/MS分析に供した.卵白タンパク質のアミノ酸配列データベースに基づきペプチドを定性後,タンパク質ごとに強度が高いペプチドを3つ選抜し,その合計から定量した.オボアルブミンのリン酸化部位を含むペプチドの強度比よりリン酸化度を算出した.部分断片は既報に基づいて定性後,その強度比を求めた.
【結果】SPA画分において,オボアルブミン濃度は乾熱未分画と同等であった.オボトランスフェリン,オボムコイドおよびリゾチーム量は顕著に少なかった.SPA画分のオボアルブミンのS344におけるリン酸化度は乾熱未分画よりも1.7倍高かった.一方,オボムコイド量は単量体画分において顕著に多く,SPAに取り込まれにくいことが示された.部分断片はいずれの画分にも存在が認められ,単量体にもSPAにも広く存在することが示された.以上より,SPAの主要タンパク質はS344のリン酸化度が高いオボアルブミンであり,その部分断片も取り込まれていることが明らかになった.