日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[2Cp] 食品分析

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 C会場 (3F N323 )

座長:氏田 稔(名城大学)、谷 史人(京都大学)、加藤 毅(日本食品分析センター)

17:45 〜 18:00

[2Cp-12] フードメタボロミクスによる鰹出汁の科学的プロファイリング

*松田 智哉1、財津 桂1、浅野 友美2 (1. 近畿大学大学院、2. 金城学院大学)

キーワード:フードメタボロミクス、鰹出汁、成分プロファイリング

【目的】内因性代謝物の網羅的解析技術であるメタボロミクスを食品に含まれる成分のプロファイリングに応用した「フードメタボロミクス」の報告例が増加している.その一方で,調理後の食品にフードメタボロミクスを適用した例は少なく,未検証の部分が多い.そこで本研究では,調理後の食品についてフードメタボロミクスによる成分プロファイリングが可能かを検証するため,4種類の鰹出汁に対してフードメタボロミクスを適用した.
【方法】花かつお・厚削り・本枯節・本枯節(血合い抜き)のかつお節から出汁を調製した.実際の調理を想定し,抽出時間は花かつお,本枯節,本枯節(血合い抜き)は弱火で1分とし,厚削りのみ10分に設定した.濾過後,遠心分離で上清を回収し,この試料についてメタボロミクスの新規プラットフォーム:PiTMaP(Zaistu et al., Anal. Chem. 2020)を用いて,鰹出汁の成分プロファイリングを行った.得られた多変量データについては主成分分析(PCA),潜在構造投影判別分析(PLS-DA)を適用し,群分離に寄与する成分をVIP値から抽出した.
【結果】各試料から65成分が検出された.PLS-DAの結果,4種類の鰹出汁はPLS-DAスコアプロット上で良好に分離したことから,フードメタボロミクスによって鰹出汁の成分プロファイリングが可能であることが明らかとなった.群分離に寄与した成分はアミノ酸(20種類),カルボン酸(3種類)など計31種類であり,特に旨味成分として知られるイノシン酸,グアニル酸ならびにグルタミン酸を含めたアミノ酸が成分プロファイリングに大きく影響した.以上の結果,4種類の鰹出汁にフードメタボロミクスを適用することで,それぞれの出汁に特徴的な代謝プロファイルを捕捉することができ,調理後の食品を科学的にプロファイリングできることが示された.