日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Np] 衛生、殺菌、抗菌

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 N会場 (2F N202)

座長:山木 将悟(北海道大学)、本城 賢一(九州大学)、勝木 淳(熊本大学)

16:45 〜 17:00

[2Np-07] オゾン水のスライサーへのかけ流しと浸漬工程での利用によるカット野菜の殺菌と品質保持

*水野 義隆1、西村 園子1、椛島 真一郎1、稲津 康弘2 (1. ライオンハイジーン(株)、2. (国研)農研機構)

キーワード:カット野菜、オゾン水、スライス、殺菌、品質保持

【目的】カット野菜の製造工程では喫食サイズにカットした野菜を次亜塩素酸ナトリウム水で殺菌することが多く,それが野菜の食味変化や褐変等の原因となることもある.一方,カット野菜の殺菌にはオゾン水も利用できる.本研究は,原体野菜のカットの際にスライサーに界面活性剤を含むオゾン水をかけ流す製造方法(以下,新製法)により,カット野菜製品の品質向上を図ることを目的とした.これまでにキャベツとレタス,大根において,新製法は次亜塩素酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を行う製造方法と同等の殺菌効果を持ち,食味・外観を劣化させにくいことを明らかにしており,今回はスライス後に検品工程を実施する場合の最終殺菌方法について調査した.
【方法】市販の野菜原体を洗浄後,実験に用いた.新製法では50ppmの界面活性剤を含むオゾン水(溶存オゾン濃度2~3mg/L)をスライス刃に流しながら喫食サイズにカットし,検品後,水洗または浸漬処理(45秒間)を行った後に,脱水(1分間)を行った.浸漬処理には次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度30~80mg/L,pH5.8,以下,塩素処理区)または55ppmの界面活性剤を含むオゾン水(溶存オゾン濃度0.1~0.6mg/L,以下,オゾン水処理区)を使用した.カット野菜の一般細菌数は,標準寒天培地を用いた混釈培養法によって算出し,外観は野菜の色調ならびにボリュームの目視観察により評価した.
【結果】オゾン水処理区の一般細菌数は塩素処理区と統計的に有意な差はみられなかった(P>0.05).塩素処理区は変色しボリュームダウンしたのに対して,オゾン水処理区では変色せずにボリューム感があり,水洗いに近い食味であった.以上の結果より,カット野菜の検品工程後の浸漬処理にオゾン水を使用することで,野菜本来の食味・外観を劣化させにくいことが判明した.