日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Ba] 生理活性物質

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 B(S3)会場 (3F N322)

座長:高橋 正和(福井県立大学)、牧野 義雄(香川短期大学)、山本 晃司(あいち産業科学技術総合センター)

09:30 〜 09:45

[3Ba-03] セロリシードに含まれる生活習慣病予防成分の探索

*澤邊 昭義1,2、徳野 里梨子2、小倉 朝2、竹田 竜嗣3 (1. 近畿大学 大学院 農学研究科、2. 近畿大学農学部、3. 関西福祉科学大学健康福祉学部)

キーワード:セロリシード、生活習慣病予防成分、AGEs生成阻害試験、ACE阻害活性試験

【目的】生活習慣病はがん,循環器疾患,糖尿病など様々な病気を引き起こす原因となり,日本人の死因の約6割を占めている.生活習慣病を引き起こす要因には生活習慣,運動習慣,喫煙,老化などがあり,今回は老化について着目した.老化を引き起こす要因として糖化が挙げられる.体内で過剰な糖とタンパク質が縮合反応により,最終糖化産物(AGEs)が生成される.このAGEsが体内のコラーゲンに蓄積すると体が老化現象を引き起こし,血管は弾性が失われ動脈硬化などの疾患を引き起こす.つまりAGEsの生成を抑制することにより,血管をしなやかに健康に保つことができ,ひいては生活習慣病の予防にもつながるといえる.これまで当研究室では,コリアンダーやフェンネルなどのスパイス・ハーブの機能と応用について研究してきた.本研究では,セロリシードに注目し,生活習慣病を引き起こすの原因となる糖化および血圧上昇を阻害する物質の探索について検討した.
【方法】セロリシードを70%メタノールに漬け置き減圧吸引濾過を行い,その濾液を減圧濃縮して粗抽出物を得た.得られた粗抽出物を酢酸エチル,ブタノールで抽出し,酢酸エチル抽出物,ブタノール抽出物,水層部を得た.得られたブタノール抽出物において,ポジティブコントロールのaminoguanidineと同等のAGEs生成阻害活性が認められたため,その後,シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびゲル濾過で単離・精製した.抽出物および単離成分については,AGEs生成阻害試験およびACE阻害活性試験の評価を行った.
【結果】セロリシードから8種類の化合物の単離に成功した.活性評価については,得られた抽出物および単離物に顕著な活性が認められた.以上のことから,得られた抽出物や単離した化合物,材料は化粧品や食品添加物,健康食品,医薬品原料などへの有効利用の可能性が示唆され,将来その利用が期待される.