日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Cp] 食品分析

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 C会場 (3F N323 )

座長:仲川 清隆(東北大学)、松田 寛子(日本獣医生命科学大学)、間野 博信(あいち産業科学技術総合センター)

15:00 〜 15:15

[3Cp-04] 超臨界CO2抽出により得られるコーン胚芽の脂質関連分子の網羅的解析

小谷口 美也子1,2,3、田仲 礼奈3、竹満 初穂1,2、松本 裕貴1,2、大坪 恭子4、高原 純一1,4、*北村 進一1,2,3,4 (1. 大阪公大・研究推進機構、2. (有)IPE、3. 大阪府大・院・生命環境、4. 三和澱粉工業(株))

キーワード:コーン胚芽脂質、超臨界CO2抽出、グルコシドセラミド、2次元HPLC

【目的】本研究では,コーン胚芽に含まれる脂質成分の網羅的解析を目的とした.今回は特にグルコシルセラミド(GlcCer)について報告を行う.GlcCer は,Ceramide(Sphingoid base(SB)に2-hydroxy fatty acid(FA)が結合)にGlucoseが結合した脂質で,保湿効果や抗アトピー効果,抗腫瘍効果が報告されている.
【方法】共溶媒(Ethanol)の濃度を変えた超臨界CO2抽出法を用いて,2サンプルを得た.抽出条件は17.3 MPa,50℃とした.サンプルの脂質分子種分析は,2次元HPLC-MS-CAD(荷電化粒子検出器:Charged Aerosol Detector)により行った1)
【結果】超臨界CO2抽出においてCO2のみを送液したFraction 1からは,TAGなど低極性脂質のみが検出され,CO2と共溶媒Ethanolを送液したFraction 2からは,GlcCerやPhosphatidylcholine(PC)など中~高極性脂質が検出された.特にグルコシルセラミドの濃度は,4.9%であり,これはもともと含まれているグルコシルセラミド濃度の200倍以上である.Fraction 2のGlcCer分子種を分析した結果,少なくとも17の分子種が同定・定量された.いずれの分子種においても,結合しているFAは99%以上が飽和FAであり,SBはd18:2が最も多く含まれた.最も多い分子種はd18:2 (t4,t8) - C16:0h(27.4%)であった.ニンニク,コメでも同様の実験を行い分子種を比較したところ,それぞれの植物により構成成分が異なることがわかった.またアシル化ステロールグルコシドやステロールグルコシドも同定された.
文献 1)Takahashi, et al., Journal of Chromatography B, 1077, 35-43 (2018).