日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Da] 感性評価,官能評価

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 D会場 (3F N324)

座長:舩津 保浩(酪農学園大学)、早川 文代(農業・食品産業技術総合研究機構)、稲熊 隆博(女子栄養大学)

09:30 〜 09:45

[3Da-03] 食感の異なるチョコレートバー摂取による感情変化の評価

*畑中 美咲1、長尾 有紀1、灘岡 勲1、田頭 素行1、細田 奈央子2、伊藤 幸博2、山崎 英恵3 (1. アサヒグループ食品株式会社、2. アサヒグルージャパン株式会社、3. 龍谷大学)

キーワード:ザクザク食感、チョコレートバー、感情評価、感情変化

【目的】食品の摂取は,脳血流の上昇などの生理的変化だけではなく,ポジティブな感情の誘発やネガティブな感情からの回復など,感情変化にも影響を与えうる.先行研究では,ザクザク食感を有するシリアルバーの摂取により,脳血流量が上昇,およびストレス脳指標が低下したことを報告した.本研究では,食感の異なるチョコレートバー摂取時の感情変化を測定し,食感が感情に及ぼす影響とその寄与の程度について検証した.
【方法】健常な男女を対象に,異なる2種類の作業負荷を課し,ネガティブな感情からの回復の程度を指標とした.被験食品は,ザクザク食感を有するシリアルチョコレートバー(A群)としっとり食感を有するベイクドチョコレートバー(B群)とし,対照に未摂取群を設定して,クロスオーバーのデザインで実施した.評価指標には臨床試験に用いられている既存の調査票と独自に作成した感情評価調査票を用いた.Study 1では,被験者22名に対し,20分間の計算課題を負荷したのちに被験食品を摂取してもらい,摂取前後の感情変化を評価した.Study 2では,被験者42名に対し,120分間の模擬試験(5択問題,マークシート)後,Study1と同様の評価を実施した.
【結果】既存の調査票では,Study 1とStudy 2ともに,未摂取群と比較してA群とB群が有意な変化を示したが,食感の違いによる差は確認されなかった.しかし,独自に作成した調査票では,ストレス強度が高く負荷時間の長いStudy 2において,A群がB群と比較してポジティブな感情が有意に高くなった.以上の結果より,食感の違いは感情変化に影響を及ぼすこと,特に長時間にわたり蓄積されるような日常的な疲労感からの回復において,食感の寄与は大きいことが示唆された。