日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

B 食品機能 (Food Function)

[3Ep] 整腸作用、脂質調節、コレステロール調節

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 E会場 (3F N307)

座長:志水 元亨(名城大学)、本多 裕之(名古屋大学)、畑中 美咲(アサヒグループ食品)

16:30 〜 16:45

[3Ep-09] ラットの脂質代謝に対する食事由来酸化植物ステロールの影響

*小山 智成1、小原 唯1、長田 恭一2 (1. 明治大学大学院、2. 明治大学)

キーワード:酸化植物ステロール、植物ステロール、脂肪酸代謝、リノール酸代謝、ラット

【目的】植物ステロール(PS)は,血漿コレステロール低下作用を発揮するが,その酸化物である酸化植物ステロール(OPS)の生体に与える影響については未知な点が多い.本研究では,食事由来OPSの脂質代謝に及ぼす影響を検討することを目的とした.
【方法】4週齢のWistar系雄性ラットにAIN76純化基準飼料を与えた群をC群,基準食に植物ステロールを0.5%添加した飼料を与えた群をP群,基準食にOPS混合物を0.5%添加した飼料を与えた群をO群として1週間飼育した.飼育後,血液と肝臓を採取し,脂質代謝に関わる種々のパラメータを解析した.
【結果】体重増加量及び総白色脂肪組織重量は,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に低くなった.血漿トリグリセリド(TG)レベルには変化はなかった.血漿総コレステロール(TC)レベルは,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に低くなった.肝臓TGレベルは,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に低くなった.肝臓TCレベルは,C群と比べてP群とO群は有意に低くなった.肝臓のアラキドン酸(20:4 n-6)の割合は,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に高くなった.また,肝臓のD6不飽和化指数は,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に高くなった.肝臓のFADS1及びFADS2遺伝子発現レベルは,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に高くなった.肝臓のCYP27A1の遺伝子発現レベルは, C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に高くなった.肝臓のHMGCRのタンパク質発現レベルは,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に低くなった.以上のことから, コレステロール代謝とリノール酸代謝に対して,OPSはPSと異なる影響を示すことが明らかとなった.