日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[3Ip] 加工、製造技術

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 I会場 (3F N302)

座長:田村 匡嗣(宇都宮大学)、安藤 泰雅(農業・食品産業技術総合研究機構)、守田 和弘(実践女子大学)

15:30 〜 15:45

[3Ip-06] バッチ式および連続式アクアガス処理装置を用いた農産物の殺菌と成分保持効果

*小川 哲郎1、土佐 典照1、小林 こずえ1、田畑 光正1、渡部 忍1、五月女 格2、五十部 誠一郎3 (1. 島根県産技セ、2. 東大農学生命科学研究科、3. 日大生産工学部)

キーワード:ブロッコリー、エゴマ種子、アクアガス、殺菌、成分保持

【目的】島根県では‘出雲フォルテ’という,グルコラファニンを高含有するブロッコリーの栽培を進めている.そこで,バッチ式アクアガス(AQG)処理が殺菌効果とこの成分含量に及ぼす影響を検討した.また,前大会で開発を報告したAQGと過熱水蒸気(SHS)を併用した連続装置1)での処理がエゴマ種子の殺菌と成分変化に及ぼす影響を検討したので報告する.
【方法】今回,予備検討として,ブロッコリーは2021年6月に市中より購入した熊本県産を使用した(品種不明).これをバッチ式AQG処理装置((株)タイヨー製作所製AQUACOOKER)を用いて,AQG(120℃・200spm・30秒~5分)あるいは蒸煮(100℃・30秒~5分)処理を行い,殺菌効果と成分含量を比較した.また,エゴマ種子は2021年11月に川本町で採取された田村種を使用した.これを,上記と同じバッチ式装置あるいは連続式装置を用いて,AQG(120℃・200spm・30秒~5分),さらに後者はSHSとの組み合わせ,で処理を行い,殺菌効果と油の酸化度合を比較した.
【結果】ブロッコリーは,無処理の一般生菌数が107オーダーで存在したものが,AQG,蒸煮ともに30秒処理によって検出限界以下となった.大腸菌群も陰性となった.グルコラファニンはAQGが蒸煮処理に比較して高く保持され,アスコルビン酸はAQG,蒸煮処理ともに無処理と変わらなかった.エゴマ種子は無処理の一般生菌数が105オーダーで存在したものが,バッチ式処理では菌が残存したのに対し,連続式処理では5分で検出限界以下となった.同様に,耐熱性菌,大腸菌群ともに連続式処理の菌数低下が高かった.また,処理後の試料を搾油して得た油の酸化度合を評価したところ,いずれも無処理と大差はなかった.
1) Ogawa, et al., 2023. Food Sci. Technol. Res., 29, 221-230.