日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[2Hp] 野菜、果実

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 H会場 (3F N303)

座長:大坂 隆志(広島県立総合技術研究所)、菅原 哲也(山形県工業技術センター)、重村 泰毅(東京家政大学)

17:00 〜 17:15

[2Hp-09] シークワシャー果実の香気およびフラボノイド成分:生育過程における変化

*山本 健太1、矢羽田 歩2、吉元 あや美1、太田 英明1 (1. 中村学園大・栄養科学、2. 九大・五感応用デバイス研開セ)

キーワード:カンキツ、香気成分、ポリメトキシフラボン

【目的】シークワシャー(Citrus depressa Hayata)は,沖縄本島北部を主産地とするカンキツの一種であるが,爽やかな芳香や機能性が多数報告されているポリメトキシフラボン類を豊富に含むことが特徴である.シークワシャー果実は,主に加工用として70~80%が使用され,それらは10月下旬から12月中旬に収穫される.また,調理用の青切り果実は,8月下旬から10月中旬頃が収穫期である.本研究では,シークワシャー果実の青切り果実および加工用の果実が収穫される8月から12月にかけての品種特性を明らかにするため,生育過程における香気成分およびポリメトキシフラボン類含量の変化を調査した.
【方法】試料:シークワシャーの大宜味クガニおよび勝山クガニを使用した.香気成分抽出:果皮を水と共に,減圧連続蒸留抽出(SDE)に供した.蒸留後,脱水し,溶媒を除去して,香気濃縮液を得た.香気成分分画:香気濃縮液をn-ペンタンで平衡化したシリカゲルカラムに添加し,炭化水素画分と含酸素化合物画分を溶出させ分画した.各分画は,脱水後,溶媒を除去して濃縮し,GC,GC/MS分析に供した.ポリメトキシフラボン類含量測定:凍結乾燥試料にDMSO:MeOH(1:1)を加えて,ホモジナイザーで抽出し,遠心分離後,上清を回収する操作を繰り返した.定容後にろ過し,HPLCで分析した.
【結果】シークワシャーの香気成分の組成比は,他のカンキツに比べ,リモネンが低く,γ-テルピネンが高い傾向にあった.8月から12月にかけて,主にリモネンなどの炭化水素成分の組成比が増加し,主にリナロールなどの含酸素成分の組成比が減少した.ポリメトキシフラボン類含量は,8月から12月にかけて減少した.同じシークワシャーでも,系統によって生育過程に差があると考えられた.