日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[2Ip] 水産物、フードシステム、6次産業化、その他の食品

2024年8月30日(金) 15:00 〜 17:45 I会場 (3F N302)

座長:榎本 俊樹(北陸学院大学)、今泉 鉄平(岐阜大学)、古田 歩(県立広島大学)

16:00 〜 16:15

[2Ip-05] 規格外トマトの加熱におけるリコピン含有量と味覚の関係性

*長谷川 結生1、今野 月乃1、近藤 美羽1、曽矢 麻理子2、小林 三智子3 (1. 十文字学園女子大学人間生活学部食品開発学科、2. 十文字学園女子大学大学院人間生活学研究科、3. 十文字学園女子大学国際栄養食文化健康食文化研究所)

キーワード:トマト、リコピン、スチームコンベクションオーブン、味認識装置

【目的】完熟した規格外トマトは,すぐに加工が必要で生鮮の状態では活用できない.そのため,加熱加工することが必要と考えられ,ピューレにより保存可能な状態にすることが求められる.リコピンは熱に強いため,規格品のトマトは加熱してもリコピンは残存する.しかし規格外トマトは栽培期間が一定でないため,リコピンが加熱によって残存するのかはわかっていない.そこで加熱によるリコピン含有量の測定をして明らかにすることを目的とした.また,加熱により食味が変わることが懸念事項であるため,味認識装置でリコピン含有量との関係性を明らかにした.
【方法】規格外トマトは埼玉県滑川産を使用した.試料は,生およびスチームコンベクションオーブンで加熱(140℃10分,140℃20分,160℃10分,160℃20分)し,ピューレ状にしたもの5種類とした. リコピンは簡易迅速定量法(505 nm)で測定し,定量値を算出した.食味に関しては,味認識装置を用いて,味覚センサー(五味)の応答性を確認した.
【結果】リコピン含有量は,加熱後の湿重量の変化を考慮して算出した結果,100 gあたり生5.1 mg,140℃10分4.3 mg,140℃20分8.5 mg,160℃10分4.7 mg,160℃20分4.8 mgであり,140℃20分が最もリコピン含有量が高いことがわかった.味認識装置において,苦味雑味は,加熱時間の短い試料が低い傾向にあり,旨味は加熱温度の低い試料が高い傾向にあった.従って,規格外トマトのリコピン含有量および食味の関係性は140℃20分が最も良い結果であった.