日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Kp] 加工、製造技術

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 K会場 (2F N206)

座長:山田 盛二(サンタ ベーキング ラボラトリー)、西岡 昭博(山形大学)、高村 仁知(奈良女子大学)

16:30 〜 16:45

[2Kp-07] オーブントースターの活用に関する新たな展開
(非定常な炉内環境における焼成装置の制御方法)

*山田 盛二1 (1. サンタ ベーキング ラボラトリー)

キーワード:パン、焼成、オーブン、トースター

【目的】 パン等の焼成を目的とした,予熱を行わない加熱装置(オーブントースター)において,被加熱物の表面温度がリベイクや焼成に適した温度履歴をたどっていく加熱条件を満たすべく,炉内環境の制御方法について検討した.さらに本研究では,オーブントースターにおいてオーブンとしての用途へ展開を図っていくことも目的として加えた.

【方法】 加熱装置には,角形食パンを4枚並べることができるサイズの市販のオーブントースターを用いた.上下各ヒーター(上:500W, 下:700W)の制御用にそれぞれ個別の温度センサーを設置し,独立した温度制御を行った.温度センサーには,一般的なシース形熱電対(Type-K)と受熱面側に黒色塗装を施した薄板を貼付したタイプのものを炉内に並列に設置し,制御及び計測に用いた.
試料は,常温及び冷凍した市販のパン製品(食パン,ロールパン等)に加え,市販の食パン用冷凍生地(敷島製パン社製小麦の匠,150g/個)を用いて3等分に分割し,セルクル(φ80mm)を用いてバンズ状に成形し,製パンを行った.
試料の上面,中心,底面には熱電対を取付け,加熱開始直後から連続的にデータロガーで温度を測定した.リベイクの設定温度は140 - 210℃,時間は2 - 15分,焼成の際は,設定温度を160 - 210℃,時間を10 – 14分とした.

【結果】 一般的なシース形熱電対で炉内制御を行った場合では,炉内温度が設定値に到達した際,生地表面温度が低下する等の不具合が見られた一方,薄板を貼付した温度センサーでは,生地表面と同様,もしくは継続して温度が上昇していく状況が確認できた.
今後は,リベイクおよび焼成においてさらに良好な条件が再現できるセンサーの仕様を検討していく.