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[2Np-09] 高タンパク液状食品用高電界パルス殺菌装置の開発
キーワード:高電界パルス殺菌、連続処理、保温、ロングライフ牛乳、リステリア菌
【目的】液状加工食品の加熱殺菌において、熱による栄養成分や香味成分の劣化や食品物性の変化が生じる。特に、液卵、牛乳、豆乳などの高タンパク食品では大きな問題である。このため、実用的な低温物理殺菌装置が期待されている。高電界パルス(PEF)は有力な物理殺菌法であるが、食品の流体力学的振舞に起因する局所加熱のため、高流量の連続処理は簡単ではない。私たちは、高タンパク液状食品を実用的な流量で連続的に殺菌するための要素技術開発に取り組んでおり、ここでは、リステリア菌を含んだモデル牛乳を流量10 L/hで1時間以上連続的に殺菌することを目指す。【方法】PEF処理槽は、厚さ8 mmの樹脂製円板に設けた直径4 mmの孔を両側から間隔3㎜あけてチタン製平板電極で挟む構造である。円板の孔内で電界26 kV/cmが生じ殺菌効果を発する。この処理槽を5個積層した。処理槽を含め流路は4気圧で加圧され、流路の出口のニードルバルブで流量を調整した。PEFのパルス幅は2 µs、繰返し周波数は117 Hzとした。また、PEF処理後に60℃で最大5分間保温した。殺菌対象として10^7 CFU/mLのListeria innocua菌を含んだロングライフLL牛乳(らくのうマザーズ製)を用いた。処理後に採取した牛乳中の菌数をコロニーカウントで測定し、原液と比較して殺菌効果を評価した。耐久性評価のため、殺菌と同じ条件でLL牛乳を1時間処理した後、処理槽を分解して各部を目視で観察した。【結果】PEF処理後の60℃の保温時間を変数とすると、1分で5桁殺菌、2分以上で検出限界以下となった。1時間の連続処理後の処理槽内部に損傷や汚損はみられず、耐久性を確認できた。