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[3Aa-09] Nano-PALDIイメージング質量分析によるアロエ成分の一斉局在解析
キーワード:イメージング質量分析、アロエ、エモジン、アロイン
【目的】アロエ(Aloe)は多肉植物で、観賞用、食用、薬用と知られるキダチアロエと主に食用として用いられるアロエ・ベラがある。葉の中にあるゼリー状の組織から抽出される粘液には、切り傷、火傷などに効果があるとされている。また、外用だけでなく、食すことで健胃効果があるとされるアロイン(アンスロン配糖体)やアロエエモジンなども含有しており、アロエは古来より「医者いらず」と言われている。今回、キダチアロエに含まれる、アロエエモジン、アロエニン、アロインを標的にイメージング質量分析(IMS)を用いて局在解析を行った。【方法】標準品(アロエエモジン、アロエニン、アロイン)の検出を行なった。これらの物質は質量が500以下のため、既存MALDI法ではノイズが高く測定が困難であるため、低分子領域のイオン化に適したナノ微粒子支援型(Nano-PALDI法)を採用した。 キダチアロエ(東京アロエ伊豆農園)を凍結し、クライオミクロトームで厚さ10um切片を作成した。イオン化支援剤としてナノ微粒子を切片上に噴霧した。MALDI-Q-TOF質量分析装置(timsTOF fleX) を用いて空間分解能100umでイメージングMS測定を行い、目的成分群の局在解析を行った。【結果】 アロエエモジンはプロトン付加体とNa付加体で検出され、どちらも果皮と果実の境界に局在していた。アロインはNa付加体でのみ検出され、果皮と果実の境界に局在していた。アロエニンは果皮に局在していた。古来より経験的に果皮と果実の間に多く含まれていると言われていたが、今回IMSで視覚的に局在を明らかにしたことで、基礎科学的なデータの裏付け以外に、今後、加工現場などで効率的なアロエ成分の抽出法の一助になると考えている。