[3Cp] 食品分析

[3Cp-09] Probe Electro-Spray Ionizationを用いたショウガ中の6-gingerolおよび6-shogaolの加熱時の挙動確認

*鈴木 健太¹、中川 有理¹ (1. エスビー食品株式会社)

キーワード：ショウガ、探針エレクトロスプレーイオン化法、ギンゲロール、ショーガオール

【目的】ショウガ（Zingiber officinale）は世界中で広く用いられている香辛料であり，さわやかな辛味を特徴とし，この成分は主にGingerol類とShogaol類である．Gingerol類は加熱や乾燥により脱水し，Shogaol類となる．そのため，加工方法により成分含量が変化することが知られている．しかし，分析手法には煩雑な前処理を要するものもあり，分析時間も短くはない．また，非破壊での分析は難しく，同一サンプルを経時的に分析した例はない．そこで，一般的な四重極質量分析計にProbe Electro-Spray Ionization（以下，PESI）というイオン源を装着し，迅速かつ簡便な方法でショウガ中の辛味成分を定量する方法を検討した．PESIはProbe（以下，探針）の先端に付着した微量サンプルからの定量分析が可能であり，加熱中のサンプルに適宜穿刺することで，同一サンプルからの経時的な定量分析が可能である．今回はショウガに含まれる主なGingerol類である6-gingerol，およびShogaol類である6-Shogaolについて，定量分析を目標として検討を行った．
【方法】試料には市販の生鮮ショウガを用いた．試料を異なる温度条件で加熱し，定時毎に探針を一定深度で穿刺してサンプリングした．機器の抽出モードを用い，試料が付着した探針から目的成分を抽出した．PESI-MSはDPiMS-8060（島津製作所）を用いた．
【結果】今回，非破壊での操作により，加熱時の成分変化をとらえることができた．今回の測定は確認イオンも含め，1測定あたり約1分というメソッドで測定が可能であり，即時に結果を得ることが可能であった．また，再現性および検量線の相関係数も良好であった．PESIは短時間，かつ，簡便にリアルタイムで試料の状態をモニタリングできる有用な方法であると考えられた．