日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

B 食品機能 (Food Function)

[3Fp] その他食品機能

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 F会場 (3F N306)

座長:升本 早枝子(福島大学)、北越 香織(至学館大学)、石川 大仁(ヘルスケアシステムズ)

15:00 〜 15:15

[3Fp-04] 食習慣モニタリングと野菜飲料配布とを組み合わせた介入がウランバートル在住の過体重者の食習慣指標並びにメタボリックシンドローム構成因子に及ぼす影響の検討

田丸 恵里菜1、牛田 悠介1、*鈴木 重德1、菅沼 大行1、Bayasgalan Jambaldorj2、Oyundelger Dechinjamts2、Tuvshinbayar Bayaraa2、Tuul Bayarmagnai2、Batjargal Jamiyan2、Narantuya Davaakhuu2、Suvd Batbaatar2、Unursaikhan Surenjav2、Narmisheekh Khasa3 (1. カゴメ株式会社、2. モンゴル国立公衆衛生センター、3. モンゴル国立医科大学)

キーワード:カロテノイド、肥満、メタボリックシンドローム、野菜、食習慣指標

【目的】モンゴルでは過体重ないし肥満者の増加が課題となっている。ひとつの要因としてビタミン・ミネラル、あるいは肥満予防に寄与しうる成分の供給源である野菜摂取の慣習がなく、その意義の啓発や環境整備の不十分さが挙げられる。食習慣指標(皮膚カロテノイドレベル[ベジチェック®により測定]、尿ナトリウム/カリウム比 [以下、尿Na/K比])の可視化が人々の野菜摂取行動を高めるという報告を参考に、本研究では、食習慣指標のモニタリング、またはモニタリングと野菜飲料配布とを組み合わせた介入がモンゴル人の食習慣指標やメタボリックシンドローム(以下、メタボ)構成因子に及ぼす影響を検討した。【方法】ウランバートル在住のBMI≧25である成人男女を3群(対照群 n = 31、モニタリング群 n = 31、モニタリング+野菜飲料群 n = 32)に割付けた。8週間の介入期間に、モニタリング群とモニタリング+野菜飲料群には2週間ごとに食習慣指標の測定と結果の即時開示を行った。モニタリング+野菜飲料群には野菜飲料を毎日1本ずつ摂取させた。全群の対象者に対して介入前後に食習慣指標とメタボ構成因子の測定を行い、それらの介入前後の変化量を群間で比較した。【結果】食習慣指標のうち尿Na/K比は対照群(+0.45)と比しモニタリング群で改善傾向(-0.49)が、モニタリング+野菜飲料群で有意な改善(-0.80)が認められた。皮膚カロテノイドレベルは対照群(+0.28)やモニタリング群(+0.36)と比しモニタリング+野菜飲料群(+1.72)で有意に上昇した。メタボ構成因子のうち腹囲が、対照群(+0.22 cm)と比しモニタリング+野菜飲料群(-2.63 cm)で有意に改善した。以上から、食習慣モニタリングと野菜飲料の介入は、モンゴル都市部在住の過体重者の肥満改善に寄与しうることが示唆された。