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[3Fp-06] 吸収性の異なるポリフェノール類の摂取による腸内細菌叢の変動と認知機能改善効果の検討
キーワード:ポリフェノール、腸内細菌、認知機能
【背景】ポリフェノールは, 様々な生体調節機能を有しており, 我々はこれまでに, プロシアニジン類の摂取が認知機能低下を抑制することを報告している.またカテキン類やクロロゲン酸においても認知機能への有効性が報告されている.一方で, 腸内細菌叢が認知機能に影響を及ぼすことが明らかになっている. ポリフェノールは, 構造や重合度の違いにより生体利用性や腸内細菌叢への影響が異なることが予測される.本研究では, 生体利用性の異なるプロシアニジン類, カテキン類, ヒドロキシ桂皮酸類を長期摂取させ, 腸内細菌叢の変動を介した認知機能低下抑制効果の作用機序を検討した.【方法】6週齢のC57BL/6J雄性マウスを用いた.高脂肪食高ショ糖食給餌群(HFHS群), HFHS+プロシアニジン群, HFHS+ヒドロキシケイ皮酸群, HFHS+カテキン群に群分けし,各ポリフェノールは0.5%濃度で飲料水に溶解し,自由飲水で摂取させ12ヶ月飼育した.脳よび腸管組織のバリア機能関連因子の遺伝子解析および組織学的評価, さらに盲腸内容物からDNAを抽出し,腸内細菌叢の解析を行った.【結果】腸管の組織学的評価では,ポリフェノール投与群でムチンが豊富に観察された.また脳および腸管のバリア機能関連因子Zo-1遺伝子発現解析ではAPC群において有意な増加が認められた. 腸内細菌叢は, APC群でRoseburia属,CAT群ではOscillospira属が有意に増加しており,これらは短鎖脂肪酸産生菌として知られている.また全てのポリフェノール投与群でAkkermansia属が増加しており, Akkermansia属はバリア機能向上に寄与することが報告されている.これらの腸内細菌の増加により,ムチンや短鎖脂肪酸の産生が促進され,腸管のバリア機能を向上させ認知機能に寄与したと考えられる.