日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

B 食品機能 (Food Function)

[3Fp] その他食品機能

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 F会場 (3F N306)

座長:升本 早枝子(福島大学)、北越 香織(至学館大学)、石川 大仁(ヘルスケアシステムズ)

16:15 〜 16:30

[3Fp-08] 新規機能性食品素材パラミロンの加熱加工に対する安定性

*内藤 淳子1、千葉 花子2、真鍋 法義2、西田 典永1、大野 尚仁3、山口 芳樹2 (1. ㈱神鋼環境ソリューション、2. 東北医薬大・薬、3. 東京薬大・薬)

キーワード:パラミロン、ユーグレナグラシリス、加熱加工、Dectin-1

【目的】ユーグレナ属のみがつくるパラミロンは新規機能性食品素材として注目されている.パラミロンは,β-1,3‐グルカン構造を特徴とする顆粒体の不溶性食物繊維であり,消化管内で消化や分解を受けないと考えられているが,生体において免疫維持を含む様々な機能性を発揮することが報告されている.機能性素材をヒトに適切に作用させるためには製品中にその有効量が存在し,機能を発現する必要がある.一方,食品加工には熱,圧力など様々な処理が加わる.そこで,パラミロンの加熱加工に関する安定性を定量,in vitro機能活性評価により検討することとした.
【方法】パラミロンはユーグレナグラシリスEOD-1株から抽出,精製した.パラミロンに加熱,オートクレーブ,電子レンジなどの処理を施した.パラミロン量は1H qNMRにより測定した1).in vitro機能活性評価は我々が確立した不溶性グルカンとDectin-1との結合アッセイ法2)を用いた.C型レクチン様受容体の一種であるDectin-1は,パターン認識受容体としてβ-1,3-グルカンを認識することにより,細胞内シグナルを惹起することが知られている.
【結果】パラミロンは加熱など各種処理において,含有量の減衰は認められなかった。また,結合アッセイ法において,Dectin-1との結合性に大きな変化はなく機能性が担保されていると考えられた.以上の結果から,パラミロンは安定性が高く,幅広く様々な加工食品への配合が期待される素材であると考えられる.
1)T. Kato et al., Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi 67(11) ,430-441 (2020)
2)H. Chiba et al., Carbohydrate Research 536 ,109041 (2024)