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[3Gp-07] 低温保存とパウダー加工による自然薯の物性および成分変化
キーワード:自然薯、動的粘弾性、SOD様活性
【目的】自然薯は高級品であり,その形状は重要な品質の1つとなっていることから形状の規格外品は市場に出荷できない.しかし,形状不良でも成分は良品と変わらないことから,パウダーなどに加工し,有効利用することが期待されている.先行研究では,保存により粘度と抗酸化活性が増加することを明らかにした.(1)しかし,低温保存とパウダー加工による詳細な物性および成分変化は明らかになっていない.そこで長期保存した自然薯をパウダー加工し,品質を評価することを目的とした.【方法】自然薯を収穫後,4℃の低温庫で1週間と6ヶ月以上の長期保存したものを試料とした.自然薯を切断し,フードミルで粉砕したもの(生),また真空凍結乾燥し,フードミルにて粉砕したもの(パウダー)を供試試料とした.パウダーに対して69%の水を添加し,混合後,動的粘弾性測定,テクスチャーアナライザーで付着性と硬さの測定に供した.パウダーに10倍量の水を添加し,振とう,遠心分離後の上清を水抽出画分としSOD様活性を測定した.水抽出画分のポリフェノール量は,フォーリン・チオカルト法にて測定した.粘性成分の分析のため,パウダー試料から熱水抽出を行った.【結果】動的粘弾性測定の結果から,生の自然薯のG’(弾性),G”(粘性)は水で戻したパウダーより2倍以上大きかった.水で戻したパウダーは1週間と長期保存試料間で動的粘弾性が異なり,長期保存パウダーがG’,G”共に大きかった.付着性と硬さについても1週間より長期保存試料の方が大きく,同様の傾向がみられた.SOD様活性は先行研究と同様,長期保存試料の方が活性は高くなり,ポリフェノール量も有意に増加し,SOD様活性とポリフェノール量に正の相関が認められた. (1)沼野ら,日本応用糖質科学会中部支部大会,2023