日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Kp] 加工、製造技術

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 K会場 (2F N206)

座長:山田 盛二(サンタ ベーキング ラボラトリー)、西岡 昭博(山形大学)、高村 仁知(奈良女子大学)

16:15 〜 16:30

[2Kp-06] 製粉条件および加水温度がグルテンフリー米粉パンの製パン性に及ぼす影響

*平田 真唯1、小林 寛菜1、恩塚 遥奈1、藤川 真衣1、齋藤 公美子1、山田 徳広2、畠中 芳郎3、武智 多与理4、高村 仁知1 (1. 奈良女子大、2. 摂南大、3. (独)大阪産業技術研究所、4. 千里金蘭大)

キーワード:米粉パン、グルテンフリー、製粉条件、加水温度

【目的】グルテンフリー米粉パンの製造には,米粉の粉体特性が重要であることが明らかになっており,その製粉方法は湿式気流粉砕が適すると報告されている.しかし,湿式気流粉砕における最適な製粉条件は明らかになっていない.本研究では,製粉条件の異なる4種類の湿式気流粉砕米粉(米粉A,B,C,D)を用いて,米粉の粉体特性が製パン性に及ぼす影響について検討した.また,グルテンフリー米粉パン調製時の高温水添加によって,製パン性を向上させることが明らかになっていることから,高温水添加の影響についても検討した.
【方法】製粉時に回転数を変化させた湿式気流粉砕米粉を用いて,5℃および50~58℃ (2℃間隔)の水を添加し,パンを調製した.粉体特性評価(粒度,デンプン損傷度,水分量,脂質含量,アミロース含量,電顕観察),製パン特性評価(比容積測定,テクスチャー測定,断面観察)および物理化学的解析(糊化度測定,示差走査熱量測定,動的粘弾性測定)を行い,加水温度毎に比較を行った.
【結果】米粉A~Dは,回転数が高いほど粒度が小さく,冷水5℃を加水した場合,デンプン損傷が小さいほど比容積が大きくなった.しかし,デンプン損傷度は回転数に依存せず,米粉間での差が大きく(1.6〜4.6%),食パン2斤型で焼成した場合,パンは膨化しなかった.米粉A,B,Dでは生地量を減らし,高温水を加水した場合,冷水5℃と比較して比容積が有意に向上し(p < 0.05),柔らかくなる傾向が見られた.米粉Cはデンプン損傷度が小さく,製パンに適していたため,冷水5℃添加パンと高温水添加パンの品質に大きな差は見られなかった.動的粘弾性測定においては,5℃よりも最適加水温度の生地でtanδが大きく,粘性の寄与割合が高くなることが示された.以上のことから,製パンに適さない米粉においては,高温水添加によって製パン性を向上させることが明らかになった.