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[3Bp-01] 樹種ごとの特徴香を表す記述子の作成 :ワイン樽への利用に向けて
キーワード:ワイン、樽、香り、官能評価
【目的】本研究は,国内林業の活性化と枯渇が懸念されている樽用材への対策を最終目的とし,未利用国産木材のワイン樽への利用に向けた検討を行った.国産木材には様々な樹種があるがこれらを樽にした場合にどのような香りがワインに付与されるかは不明である.そこで,1つめに各樹種の特徴香を表す記述子の作成を行った。2つめに,ワイン専門家と消費者間の香りの認識の違いについても比較検討した.【方法】4つの樹種(フレンチオーク,ミズナラ,クリ,ヤマザクラ)木材は,チップ化して均質化した.各チップは220℃,20分トーストした。モデルワイン(12%エタノールを含む5g/L酒石酸水素K溶液,pH 3.6)にチップ4 g/Lを添加して暗所3週間浸漬し,チップ浸漬モデルワインを調製した.官能評価パネルは115名(専門家37名、消費者78名)で構成した.各試料はワイングラスにいれ3桁のランダム数字をつけてパネルに提示した.パネルは試料の香りをかぎアロマホイールに記載された34個の記述子から当てはまるものを選択した.本官能評価は自由参加とし,パネルには実施目的と内容を説明した上で参加の同意を署名にて確認した.記述子の使用回数を主成分分析に供し,香り記述子により4つの樹種が区別されるか調べた.【結果】主成分分析の結果,従来使用のフレンチオークに対してミズナラは近い位置に,クリとヤマザクラはそれぞれ異なる位置に配置された.従って,これら樹種を香りで識別できることが明らかになった.使用された記述子について,バニラ,オークはいずれの樹種でも高い頻度使用されていた.一方,各樹種に特徴的な記述子もあり,これらを用いて各樹種の特徴香を表現できることが明らかになった.専門家と消費者間の比較において,前者はクリとミズナラを,後者はクリとフレンチオークを近いと判断しており,専門家と消費者で香りの認識に違いがある可能性が示唆された.