日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[2Hp] 野菜、果実

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 H会場 (3F N303)

座長:大坂 隆志(広島県立総合技術研究所)、菅原 哲也(山形県工業技術センター)、重村 泰毅(東京家政大学)

16:15 〜 16:30

[2Hp-06] 緑黄色野菜の摂取に対する意識と血中カロテノイド量の関係

*玉木 志穂1 (1. 農林水産省 農林水産政策研究所)

キーワード:野菜摂取、緑黄色野菜、血中カロテノイド

【目的】わが国における野菜摂取量は成人一人一日あたり280g程度でいまだに停滞傾向にあり,摂取目標とされる350gとは大きな乖離がある(厚労省(2020)).一方で,農林水産省の調査によると,国民の7割は目標量の野菜を摂取できていると認識している状況にある.これまで野菜消費拡大運動等の各種啓蒙活動が実施されてきたにもかかわらず,長らく野菜摂取量が停滞・減少している状況を踏まえると,自身の野菜摂取量を正しく認識できていないまま,野菜摂取量が不足している食生活を継続している可能性がある.そこで,緑黄色野菜摂取量と緑黄色野菜摂取に対する意識および摂取行動との関係を確認し,野菜摂取量を増加させるための糸口を検討する.その際,緑黄色野菜の摂取量の指標として血中カロテノイド量を用いる.【方法】成人男女2,646人を対象に,血中カロテノイド量の計測と緑黄色野菜摂取に対する意識と摂取行動に関するアンケート調査を行った.血中カロテノイド量を把握するために,非侵襲的に血中カロテノイド量を計測する機器(ベジメータ,株式会社LLCジャパン)を使用した.【結果】血中カロテノイド計測の結果,推定スコアが野菜摂取量350g以上であった割合は,全体の2.49%(66人)だった.一方で,推定スコアが野菜摂取量350g未満であった割合は97.51%(2,580人)で,そのうち,摂取できていると認識していたのは47.33%(1,221人)であった.つまり,350g以上摂取できていないにもかかわらず,対象者の約半数は野菜を十分に摂取していると認識しており,この誤った認識によって野菜摂取量を増加しない可能性が考えられる.今後は定期的な野菜摂取量の把握が必要といえるだろう.