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[2Kp-10] 物理的衝撃により過度に澱粉損傷させた米粉の特徴
キーワード:米粉、損傷澱粉
[目的]米粉パンなどの製造に用いられる一般的な米粉は、澱粉の損傷を抑えながら微粉末化し製造されている。一方で米粉パンの品質改善や物性調節のために用いられているアルファ化米粉は、様々な方法で澱粉を加熱糊化したあと製粉し製造されている。本研究ではこれらの米粉とは異なり、熱を加えずに物理的衝撃のみで澱粉を過度に損傷させた米粉を対象に研究を進めた。米粉の新たな用途開発のためにアミロース含量の異なる品種から澱粉損傷度を違えた米粉を調製し、その性状と加工性について検討した。[方法]コシヒカリ、高アミロース米「越のかおり」および超硬質米「新潟129号」の米粉をそれぞれ振動式粉砕機に入れ、密閉状態で1~15分間再粉砕し、澱粉損傷度の異なる米粉を調製した。米粉の澱粉損傷度はStarch Damage Kitで測定し、糊化度はBAP法で評価した。米粉の粒度分布はレーザー回折式粒度分布測定装置、糊化特性はRVA、熱物性はDSCで測定した。また、米粉10%のゲルを調製し、冷蔵によりゲルから離水した水量を測定した。[結果]振動式粉砕機により米粉を1~15分間再粉砕することで澱粉損傷度が16.2~60.0%の米粉を製造することができた。再粉砕時間に応じて澱粉損傷度が増加し、コシヒカリで損傷しやすい傾向を示した。米粉の糊化度は澱粉損傷度と同様に推移し、15分間再粉砕したコシヒカリでは96.8 %が糊化していると評価された。粒度は再粉砕により若干細かくなる傾向を示した。糊化特性は3品種ともに再粉砕時間に応じて最高粘度、最低粘度および最終粘度が下がり、「新潟129号」ではブレークダウンがより顕著に表れた。また、「新潟129号」から調製したゲルは、澱粉損傷度の高い米粉の方がゲルからの離水を抑えることができ、澱粉損傷度の高い米粉を用いることにより米粉食品の老化を改善できる可能性が示唆された。